明日をつくるつながり

石巻

仙台から約1時間。ガタンゴトンと揺れる電車の窓からは、長い月日を経て育まれてきた力強い自然と、東日本大震災で変わらざるを得なかった新しい建物が混在した風景が見える。

当時ニュースで何度も聞いた「石巻」という地名。まだ肌寒い3月下旬、その土地に降り立ったときに感じたのは、冷たい冬の空気と、そこに暮らす人々の温かさでした。

そこに目に見える傷はなくとも、あのときの甚大な被害の跡が見受けられます。石巻駅にも当時押し寄せた津波の水位を表すマークを見つけ、テレビで見た光景を思い出しました。8年前のあの日、ここまで津波がきたんだ。

車を走らせると、目に入ってきたのは仮設住宅、そして作りかけの堤防でした。8年経った今でも、未だ街をつくっている途中。決して復興が早いとは感じませんが、新鮮な海の幸が採れる漁港と、美しい動物が暮らす山が隣接するという珍しいこの地は、希望に満ち溢れています。

復興に関わっている人々の中には、もともと石巻の住民ではない方も多く存在します。震災をきっかけに訪れた彼らの「この街をなんとかしたい」という思いは、徐々に地元の方々に受け入れられていったといいます。
一人の力は些細なものかもしれないけれど、地元の人間も移住者も関係なく、"みんな"が同じ未来を目指して見据えている。バラバラのフィールドで活躍しているように見えていても、みんな石巻が大好きだからこそ、故郷を大切にしているからこそ、彼らひとりひとりを紐解いていくと、そこには確かな"つながり"が見えてきます。

「石巻の良さってどんなところ?」そう聞くと、みんな口を揃えて「人」と答えます。近所を歩けば必ず話しかけられ、おすそ分けをもらい、若者と高齢者が集う場所ができて自然と笑顔が生まれる。世代を超えて人とつながり、それが石巻の活力となっているのです。

点ではなく、線でつながる関係性。一人が変われば、想いは伝染する。つながって、石巻の価値を創造する。

支え合い、助け合う姿がそこにはありました。

▲