斎藤工さんのTHE MUTUAL STORY

斎藤工さんのTHE MUTUAL STORY

「いっしょに笑い、いっしょに泣く」
共感という人とのつながり方

2023年に創業100周年を迎えるフコク生命では、100周年に向けたフコク生命像「THE MUTUAL(ザ・ミューチュアル)」というコンセプトのもと、100周年プロジェクトに取り組んでいます。「THE MUTUAL」とは次の100年に向け進化する次代の”相互扶助”のことです。

人とのつながりを大切にしているフコク生命が、「THE MUTUAL」アンバサダーである齊藤エさん発案の移動映画館プロジェクト「cinéma bird(シネマバード)」の想いに共感し、2019年9月に北海道むかわ町で行われたイベントにボランティアスタッフとして参加してきました。 「cinéma bird」は、映画+ライブというフェスティバルのような体験を鳥のように自由に届けるプロジェクト。劇場体験の少ない子どもたちや映画館のない地域の人たちに、同じ空間で感情を共有する劇場体験を届けることを目的に2014年より活動されています。

“感情の共有”をテーマに活動している「cinéma bird」から、次代の”相互扶助”「THE MUTUAL」のヒントや、これからも変わらない人とのつながりの大切さが見えてきました。 ※斎藤工さんは、俳優業以外の活動は「齊藤工」名義を使用しています。

TVCM

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SPECIAL INTERVIEW

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感情を共有するとは

僕は俳優だけではなく映画監督をしたり、写真を撮ったり、様々な生業をさせてもらっています。ひとつの映画を作るには、監督や役者、技術的なスタッフなどあらゆるプロフェッショナルの方々と才能をシェアしたいと思うのですが、その時に沸く感情が壮大なプロジェクトの入り口になることもあります。自分だけのプロジェクトだと、半径が決まってしまうというか視野が狭くなってしまいますが、人と人の掛け算をしていくと多くのアイデアが生まれたり、可能性が無限に広がっていく。プライベートでも、昔からの友人たちは僕がどんな時でも仲良くしてくれる。自分ひとりで立っているようで、寄りかかり支え合いながら関係性を築き上げてきた距離感なんですよね。意識しないと、当たり前になりすぎて感謝にすら気づけない。1年間、フコク生命のアンバサダーをやらせていただいて、人との交わりによる相互扶助の様々なあり方を強く感じました。だから、自分の人間関係を形成してくれる人たちにとても感謝するようになりました。

また、日頃から感じていることなのですが、言葉って便利過ぎてしまうところがあるな、と常々思うことがあります。特に、メールやLINEとか電子的なものだと、感情の起伏が整えられてしまうもの。同じ文章でも、裏腹な言葉だったり、あえて違う表現をしてその奥側を読み取れなかったりして、本当の気持ちはどこにあるのだろうって。対面しないと分からないこともあるので、言葉だけを信頼してはいけないなと思っています。僕が何かものをつくるときには、極力、言葉だけで説明を伝えないようにしているのですが、じゃあ何をツールに人と接しているかというと、その人の行動です。言葉で説明できない部分を信頼して他者を見ているし、自分もそう見られているなと思っています。言葉じゃなくても、人が何か感銘を受けているときって、なんか分かるんですよね。例えば、ご馳走を食べた時に自分だけがその旨味を知っているよりも、「これ、美味しいよね」と人と分かち合うことで、初めてその本質に触れられることもある。他者との関わりがあって、そこに喜びが加わるのではないでしょうか。言葉がないと、お互いに分かり合えないかもしれない。でも、感情をうまくぶつけ合って共有することは、とても大切なことだと思うんです。

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「cinéma bird」という“場”を通して、
感情を共有する瞬間

今年で6年目を迎える「cinéma bird」は、言葉じゃ説明できないような感情と、その空間を共有することが醍醐味だと思っています。毎回場所が違うので、新鮮な気持ちで新しく出会う人たちと作っていくイベントなのですが、今までの経験が活かされてきて、より内容が濃くなってきた感じですね。今回は、お子さまも多く来られるので、家のリビングにいるようなラフな体勢で自由に観てもらいたくて、ステージ前には座布団を並べました。これは前夜に急遽思いつき、床に敷くブルーシートを用意して、地元のお布団屋さんからたくさん座布団をお借りして、地元の方やフコク生命のボランティアスタッフの方達と一緒に会場を設営しました。ステージ上からは来てくれた人たちの顔が見えるくらい近い距離だったのですが、表情も読み取ることができてとても貴重な経験になりましたね。その距離感が、発信者と受け手側というように分断されるのではなく、お互いの共有空間になっていたのではと思います。フェスティバルのようなお祭りムードの空間で、ともに非日常を味わっていただくというか。

僕は当日、ステージの袖で会場の様子を見ながら、間近で動いてくださっているスタッフの声が聞こえる場所にいたのですが、芸人さんのコントに笑い、上映作品を観てぐっとしていたり、MOROHAさんのライブで心を打たれている様子をそばで感じて、「めちゃくちゃいいですね」ってスタッフの方が小声で話しているのを聞いた瞬間に、心に響いたんだな、やれてよかったなと思いました。もちろん、来てくださっているお客さまに楽しんで欲しいし、豊かな気持ちになって帰ってもらいたいことが第一ではあるのですが、一緒にイベントを作ってくれた方々にも楽しんでもらいたいんです。その地域にあった映画をセレクトしたり、ゲストやライブのキャスティングをして、汗水垂らしながら取り組むことが「cinéma bird」の特徴で、僕の役目。それは理屈じゃない何かを共有したいっていう感情から、生まれてくるのだと思います。

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広がっていく共感の輪

むかわ町で「cinéma bird」の開催後、現地のスタッフの方達と最後のお別れをするときに、「バトンを受け取ったと思っていいですか。来年また、自分たちで開催したいです」と言っていただいたんです。今までは、僕らが様々な場所へ届けることが、「cinéma bird」のあり方だったのですが、映画の素材を考えたり、ゲストはできる限りその地域出身のタレントさんにお声がけしたり、ミュージシャンのブッキングや機材のことなど、地元の方々に柱となってもらい、それをサポートすること。また、同時に色々なところでも開催できるようにすること。これらが、僕らのプロジェクトの目標でもあったんです。6、7年かかりましたが、やっと蒔いた種の芽が、少しずつ出てきたのではないかなと思っています。ここからが、「cinéma bird」の本領発揮できる形になっていくのかなと感じるところです。

今回からクラウドファンディングを導入させていただいて、一度開催したら終わりではなく、開催した後にその場所に何が残せるか、どう拡がるかという持続可能性を考えるようになりました。また、開催地ではない地域にも「cinéma bird」というコミュニティが生まれ、自由な映画上映体験の輪がより一層深まっていくことを願っていたので、具体的にどうすればいいかということを、もっと考察して実行していかなければならないなという課題はあります。子どもたちの未来に対して少しでも良くなるようにできることはしていきたいですね。

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斎藤 工

斎藤 工

1981年8月22日生まれ、東京都出身。A型。2001年俳優デビュー。主演ドラマ『漂着者』(テレビ朝日)2021年7月より放送中。主演作『シン・ウルトラマン』(企画・脚本:庵野秀明、監督:樋口真嗣)の公開、主演ドラマ『ヒヤマケンタロウの妊娠』(Netflix)の配信が控える。フィルムメーカーとして、長編初監督映画『 blank13 』が国内外の映画祭で 8 冠を獲得。劇場体験が難しい被災地や途上国の子供たちに映画を届ける移動映画館「cinéma bird」主宰、白黒写真家など、多方面に活動している。

Cinéma birdを体験したフコク生命職員の編集後記

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2018年の北海道胆振(いぶり)東部地震の影響を受けたむかわ町周辺は、今でもその爪痕が残っています。

フコク生命のお客さまからも被害がまだ残っていることを伺っていたので、むかわ町を訪れ、「cinéma bird」を通じて、少しでも応援することができればと思い参加したのですが、来場者のみなさまと一緒になって映画やライブを観て感動し、声をだして笑い、たくさんの笑顔を見ることができて、逆に私たちが元気をもらうことができました。

お子さま連れのご家族も多く、アットホームな空間で子どもたちが自由に走り回ったり、元気いっぱい楽しんでいたのが心に残っています。こうした同じ空間で出会えた方達と、感情を共有できる一日を過ごせたことが何よりの宝物です。喜びや幸せを分かち合うことは、心を重ね合わせるような温かさや一体感が生まれます。これからも、多くの人達と感情を共有できる機会をつくっていき、「THE MUTUAL」というコンセプトのもと、様々な活動を通して次代の”相互扶助”を考え、模索し、発信していきます。

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